第6章 忍び寄る“影”(敵)
「そんなことを一通り話したら、「このことは内密にしろ」と承太郎に念を押され、用を済ませた私は部屋を出ました」
「ん?ワシには話してるじゃあないか?」
「むむ!」
アヴドゥルは「しまっ!やってしまった」とうっかりした。
「うう…自分はポルナレフのように口が軽くないと思っていたのに」
とても悔しそうに呟いた。
「大丈夫じゃ。人間誰だってうっかりすることもあるわい。そしてワシは、お前に聞いたことは決して口外しないことを約束し、その代わりに明日の運勢でも占ってもらおうかのう」
ジョセフの案に、アヴドゥルは心地よく乗った。
「では、私お得意のタロット占いをやりましょう」
アヴドゥルは自分のタロットカードをシャッフルして床に広げて、カードを数枚ひいた。
「!!」
1枚1枚ひくにつれて、アヴドゥルはこわばった表情に変化した。
「アヴドゥル?」
「何と言うことでしょう……このカードの組み合わせ、一生に一度しか出ないと言っても過言ではない、最悪のカードです」
ワナワナ震えながらも、占い師としてジョセフに説明した。
“明日は人生で数少ない不幸と試練が待ち受ける”
それも、ジョセフ自身のことじゃない。ジョセフの身の回りにいる人間の身に、明日、とんでもないことが起きる。
占ったのはジョセフなのに、なぜ他の人間の占いが出たのか。
それほど前代未聞の不幸が訪れるという前兆らしい。
「つまり、我々5人のうちの誰かが、明日とんでもない災難に見まわれるということです」
災難といえば、新手のスタンド使いの襲撃、としか考えられない。
それも、人生で数少ない不運だ。
ポルナレフがいなくなった今日と、連日で不幸が訪れるのか…
「ま、まあ占いじゃからのう。そんなに気にすることでもなかろう!ワシは正直言うと、良い運勢しか頼らないタチでな。大事なのは気持ちじゃ気持ち!」
「ええ……まあ、そうですね」
占い師のアヴドゥルは複雑な気持ちになった。