第6章 忍び寄る“影”(敵)
グウゥゥ~
ポルナレフのお腹がなった。
「まさかそんなことで見つけるとは。てめえ、旅行地を事前にガイドブックで調べるタイプか?」
「否定はしません」
「何にせよ、雑談も苦手なお前から俺に声をかけるとはな。さっきはアヴドゥルを止めたてめえは、今度は俺を止める気か?」
「私は、ただ…」
少しの間が、2人の緊張感を高めた。
(力ずくにでも、か?)
ポルナレフはチャリオッツを出した。戦う気満々だ。
「……」
しかし、由来はスタンドを出す気配はない。
(コイツの能力は“氷”だ。地面を伝って一瞬で俺の自由を奪うことだって出来る)
こんな鯖の押し寿司みてえにすし詰め状態の中で、コイツは無関係の人間ごと凍らせるとは考えにくいが
だが、アイツの“氷”で身動きとれなくなるのはごめんだ
いくら女だからって、今は優しくする余裕なんてねえんだぜッ!
「ポルナレフさん。アナタは…」
どうせ、「俺がやってることが間違ってる」とか言うんだ。
そうやって、俺の邪魔をしに来たんだろう
「優しい人です」
「……は?」
ポルナレフはスタンドを引っ込めた。
「アナタは、亡くした家族のために戦っている。その自分の問題に他人を巻き込みたくないから、あんな態度を取ったんじゃあないですか?」
「何だと?」
「“ホリィさんを救う”というジョースターさんたちの目的を邪魔しないため、自分の復讐の道に巻き込ませないため、あえて嫌われるようにあんなことを…」
アヴドゥルたちからしたら、ポルナレフは自分勝手な男だ。
しかし由来からしたら、彼は本当は優しい人なのだ。
お調子者のムードメーカーみたいな存在で、自分とは全く逆の性格を持っている存在なのだ。
「まさか、それをわざわざ言うために、俺を追っかけてきたのか?」
「……」
「ハンッ。この期に及んでも仲間思いな奴だな。そんなこと言うのはてめえくらいだな。
だがな、アヴドゥルが言ったとおり俺は正真正銘、自分勝手な男だ」
しかし、ポルナレフの気持ちは一切変わらなかった。
「すまねえな。元々こうなるのは分かり切っていたことなんだよ」
「ポルナレフさん…」
「それよりも、てめえの方はどうなんだよ?」