第2章 スタンド使いの女
「……」
コクリッ
女は承太郎の意志を汲むように頷き、女医のそばへ下がった。
承太郎はゆっくりと起き上がった。
「立ち上がる気か…だが悲しかな。その行動をたとえるならボクサーの前のサンドバック…ただうたれるだけにのみ立ちあがったのだ」
ゴゴゴゴゴ
花京院をゆっくり睨みつける。
「……この空条承太郎は…いわゆる不良のレッテルをはられている…
ケンカの相手を必要以上にブチのめし、いまだ病院から出てこれねえヤツもいる。
イバルだけで能なしなんで気合いを入れてやった教師は2度と学校へ来ねえ。
料金以下のマズイめしを食わせるレストランには代金を払わねーなんてのはしょっちゅうよ」
遠くで見てる彼女は、女医のケガを手当てしつつその怒りと緊迫した雰囲気に思わず息をのんだ。
「だが、こんなおれにも、はき気のする悪はわかる!!
“悪”とは、てめー自身のためだけに弱者を利用し、ふみつけるやつのことだ!!ましてや女をーっ!」
承太郎は相手を指差してさらに強く言った。
「きさまがやったのはそれだ!あ~ん
おめーの“スタンド”は被害者自身にも法律にも見えねえしわからねぇ…
だから、おれが裁く!」
しかし花京院の表情は変わらない。
今の承太郎の状態から闘いに勝つこと確信してるから。
「“悪”?それは違うな。“悪”とは敗者のこと。正義とは勝者のこと。生き残った者のことだ。過程は問題じゃあない!」
自分は今疑いようのない“正義”にいると思っている。
「敗けたやつが“悪”なのだ。とどめくらえ」
先ほど攻撃がまたくると危機感を持つスタンド使いの女。
しかし承太郎は、焦りもせず冷静でいた。
「なに…敗者が“悪”?」
「エメラルドスプラッシュ!」
さっきの凄まじい体液の攻撃がまた放たれた。
「それじゃあーやっぱりィ」
承太郎も承太郎のスタンドも笑みを浮かべ、攻撃を呆気なく腕で振り飛ばした。
「なにィ~バカな。エメラルドスプラッシュをはじき飛ばしたッ!」
「てめーのことじゃあねーかァー!」
承太郎のスタンドがハイエロファントの首を絞めて、一気に叩き込む。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
ドコドコドコ
片方は敵の頭を掴みもう片方で拳を握り、隙も与えない速さとパワーでさらに殴りつけた。
「オラララオラ!裁くのはおれの“スタンド”だッー!」