第6章 忍び寄る“影”(敵)
彼女は続けてこう言った。
何十億年も前、私たち人類を含めた生物は元々海に住む小さな生き物だった
そこから陸へ上がり、厳しい環境に適応して進化を遂げてきた
魚類から両生類、爬虫類、鳥類、そして哺乳類、今の私たちまで形成された
人間は元は魚類でもあったから、海は私たちのかつての世界であり、全ての生き物の起源、由来の地、全ての始まり
言い表すには少し大げさで中ニ臭いかもしれないが
由来は教科の中で理科が好きで、特に生態に興味があった。
中学と高校で得た知識程度だが、自分たちのルーツなど他人事ではない内容に惹かれた。
だから、タンパク質が熱で変色する事も、冷却が腐敗を防ぐことも知っていた。
彼女の理科の成績はクラスでもピカイチで、裏では「理科の神様」と呼ばれていることは、本人である彼女さえ知らないのは別のお話。
(それに私は、海の“藍”色なところも好きだ…)
海が元から好きで、それで藍色が好きになったのか
元から藍色が好きで、それで海に惹かれたのか
どっちだったんだろ?
「なるほど。じゃあ、インドに入ったらしばらく内陸続きだから見れなくなるね」
「!。そう…か…」
シュン
花京院に気づかされて、彼女は肩を落として明らかに落ち込んだ。
「あ~ジョースターさん。花京院が由来をイジメてる~」
ポルナレフは小学生みたいなテンションで急に会話に入ってきた。
「い、イジメてなんかないッ!誤解だ!兎神、イジメてなんかないよな?」
「ショックを受けた」
「そ、そんなつもりはなかったんだ!ポルナレフもややこしくなることを言うな!承太郎も何とか言ってくれ」
「やれやれ」
「そんな機嫌を損なうな由来さんよう。インドにはおいしい屋台もたくさんあるらしいぜ」
「さあ!カルカッタです。出発しましょう」
そうこうしているうちに、船は陸地についた。
船のドアを開けると陽の光が差し込み、目の前の光景に皆は言葉を失った。
ドオアアアア
ブーッ
パパーッ
「ねえ…“バクシーシ”(めぐんでくれよォ)」
「バクシーシ」
「バクシーシ」
「バクシーシ」
「ねェ…“バクシーシ”(お金ちょうだいよォー)」
「ドルチェンジレートいいね」
「イレズミほらない?きれいね」
多くの浮遊人がたむろってきた。