第5章 シンガポールの“暇”(いとま)
「で、でも由来はすごくいい人だよ!私を助けてくれたし。それに、ジョジョのおじいちゃんたちはきっと由来のことを“大切な仲間”だと思ってるよ!“その人”と同じ!」
だって由来がホテルで見当たらなかったとき、ジョジョのおじいちゃんは、ヘドロに襲われていたジョジョだけでなく、由来のこともすごく心配していたから
心配するってことは、その人が大切ってことでしょ?
「“大切な仲間”……か」
時間的にも、さすがにそろそろ行かなくてはな
「ねえ…最後に聞かせてよ。由来がこの旅にいるのは、ジョジョのお母さんを助けるため?」
「…そうだよ。あの人はジョースターさんたちにとって大事な家族だから、絶対に助けると誓った」
「本当にそれだけ?他にも理由があるんじゃないの?」
「……」
旅を楽しもうとしない、他の皆とも打ち解けようとしない由来は、何でわざわざ皆とこの旅にいるの?
どうしてそこまで、
・・・
友達の母親を助けようとするの?
由来は少しの沈黙を置いてから、顔を反らした。
「強いていうなら、贖罪かな」
え…?
一瞬、聞き間違えじゃないかと思ったが、由来はもう向こうの駅の中に入っていた。
後ろ姿で手を挙げて、「じゃあね」と私にお別れを告げた。
由来がどんな顔をして言ったのか、見ることができなかった。
「由来さん……」
由来は急いで列車に乗り、ジョースターさんに遅れたことでペコペコ謝った。
ただひとつ、納得がいかないことあった。
(彼女が見た“私”というのは、一体誰だったんだ?)
〈列車の中〉
ジョースター一行は列車内の席で昼食をとった。
列車もかなり豪華なもので、昼食も絶品であった。
承太郎と花京院は向かいで2人席。
その他はアヴドゥルとポルナレフ、ジョセフと由来が向かいの4人席にいた。
「いよいよインドへ向かうか」
ポルナレフは今まで以上に気を引き締めていた。
何故なら、承太郎からあの両手とも右手の男について聞いたからだ。
「両手とも右手の男。J・ガイル……か」