第5章 シンガポールの“暇”(いとま)
「へ? それが、アイツがお前らにくっついている動機じゃあねえのか?」
承太郎は拳を下ろした。
(アイツは、DIOに直接会ったことがあるのか?)
なら何故隠す必要がある?
そもそも、奴には“スタンド”(ホワイトシャドウ)がちゃんとあるじゃあねえか。
(DIOはスタンドを“奪う”能力を持っているのか?)
承太郎は再び拳を強く握った。
「知ってること全部話せ。少しでも嘘吐いたら、鼻だけでなく脊椎が折れてもう歩けなくなるかもな」
ゾッ…
たとえハッタリでも、承太郎ならやりかねないから冗談に聞こえない。
敵を必要以上にボコれば、主人公としてのメンツが立たなくなる気もする…
「お、俺も詳しくは知らねえよ…噂だと、DIOとヤバい取引をしたとか、数年前に謎の失踪をしたとか…噂ばかりで全く分からねえ」
「ああそうだな。だがてめえにもう一発叩き込めば、嘘を付くほどのボケが治ることは分かるな」
脅しでスタープラチナをまた出した。
「うぅ…嘘じゃねーよ! 俺たちはDIOに「由来
・・
には細心の注意を払え」と念を押されている!つまり、DIOはアイツと面識があるって訳で、実際にこの目でスタンドを見たってことだ。だ、だから奪ったんだろお?」
敵の慌てた命乞いの様子から、やはり本当のことらしい。
「……2年前、アイツに奇襲を仕掛けた刺客ってのはお前か?」
「は?俺じゃあねえよ。だが敵のてめえに忠告だけはしてやるよ」
「?」
敵はニタリと笑った。
「得体の知れねえ奴を仲間すれば、足元すくわれるぜ。お前はアイツのことを信頼してるらしいが、あのDIOでさえすくわれたんだ。
1度裏切った奴は、また裏切るぜ」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
承太郎は険しい表情で相手を睨んだ。
それとは裏腹に顔には出てないが、あまりの突拍子もない情報に混乱していた。
敵は何とか承太郎の気を引きながら、策略を練った。
(あの由来ってくそガキィ。スタンドを奪われかなり弱っていると聞いたから、スタンド使いでもねーただのゴロツき共を金で雇ったんだが…)