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白夜に輝く一番星《ジョジョの奇妙な冒険》

第5章 シンガポールの“暇”(いとま)



承太郎は足を組み、座ったまま無言のまま。

(え、ど、どういう状況?)

由来は驚いて立ち上がろうとするも、力が入らず出来なかった。

体調が悪いからではなく、衝撃だったから。

能力のこともあり、今まで仲間だろうと最低限の距離を取ってきた。

しかしこれほど近くに、しかも同じ椅子に座ることなんて。

(誰か、この状況を説明してほしい…)

シーン

向こうは全く話す気配がなさそうなので、こっちから何とか声をかけた。

「さ、先行かないの?」

エレベーターの方を指差して言い、そして承太郎はたった一言を素っ気なく返す。

「俺も、ちと疲れた」

(嘘つけィ…)

さっきまで普通に歩いてたじゃあないか

今座っている木製のベンチより、スポンジケーキのようにフカフカの椅子が、このホテルにならいくらでもある

そっちの方がよほど休めるのに

でもしつこく反論したら怒らせるかもしれないと、彼女はあえて口には出さなかった。

(ひょっとして、私に気を遣っているのだろうか…)

ならやっぱり上に行こう…

「まだ20秒しか経ってねえ。それは休憩とは言わねえ」

「!」

承太郎は自分のタグホイヤーで時間を見て、由来が休む5分間をきっちり確認していた。

そして、いつ敵が襲ってこようとすぐ戦えるように、周りに警戒もしていた。


特に2人で話すこともなく、しばらく沈黙が続いた。

(気まずい…)

空気がマズいから『気マズい』って言うのが語源かな?

彼女にとって男子と隣り合わせになるのは、不自然極まりなかった。

何故なら彼女は女子校生徒でもあるから。

(こういうとき、何を話せばいいんだろう…)

相手が男子じゃないとしてもこういうのは苦手だ

どうすれば相手の気に障らないか、言葉選びが難しい

特にこの人の好みも全く知らないから、相手に合わせた会話のしようがない

シンガポールの気候の話でもしようか

でも私もそこまで詳しくはない

それか、天気の話でもしようか


(そもそも、“この人”(承太郎)は“私”を何だと思っているんだろうか)

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