第2章 スタンド使いの女
(この声は…!)
朝出会ったばかりの人物に明らかな宣戦布告。承太郎はすぐに分かった。
「てめえ!」
花京院典明が高みの見物をするように、窓に寄りかかっていた。
「やあ、さっきぶり」
不気味な余裕の笑みだ。
「その女医にはわたしの“幽波紋”(スタンド)がとりついて操っている…
わたしのスタンドを攻撃することはその女医を傷つけることだぞ。ジョジョ」
「貴様。何者だ?」
「言っただろう、花京院典明。スタンドの名は“法皇の緑”(ハイエロファントグリーン)。私は人間だがあの方に忠誠を誓った。
だから貴様を殺す…と言いたいところだが、まずはその獣の本体に登場してもらおうか」
スッ
花京院はスタンドを女医から一旦手元に戻し、保健室のエタノール消毒液とマッチの火で白クマに火をつけた。
ボォフン!
「グルオアア!!」
火は全身に回り、さらに苦しそうな鳴き声をあげる。
「てめ…!」
オラッ!
承太郎はスタンドで反撃を試みるも、花京院が気絶した女医を盾にしたことにより拳をピタッと止めた。
ボウッ!
すると燃え移らない距離にある、保健室のベッドのカーテンが急に燃え始めた。
花京院はそこに狙いを定め、ハイエロファントの触手で集中攻撃すると、その中から誰かが炎に包まれながら出てきた。
(!)
ガオーン!
白クマが上を向いて叫び声をあげた瞬間、ソイツの足元が雪の真っ白一面に変わった。
(これが奴の能力か?)
白クマは全身を雪で包み、約3mものデカい積雪ができた。
雪で体を覆うことによって、燃え移った火は完全に消せた。カーテンの中から出てきたその者も。
シュウウウ
火と雪によって発生した蒸気がはれると、なんと女だった。
(コイツが、あのクマの本体!)
外見は、フードで顔はよく見えないが、でかい熊のスタンドの割に華奢な体格。同い年くらいだ。
そしてうちのじゃない高校の制服を着ている。
「やっと現れたか。だが貴様のスタンド…私のような遠距離タイプではないから近くにいることは予想はついた。そして…あの方が仰っていた“厄介者”とは貴様か」
(何?)
「……」
スタンド使いの女は黙りで花京院を睨んでた。いや、見定めてるといった方が正しいのか。
すると今度は承太郎の方に目配せを送る。
(ん?)