第6章 【ご 雛鳥、白の人達と出会う】
――数分後
え~、喧嘩?じゃれ合い?が始まってそれなりに時間が経った様に感じます~
ようやく鎮火してきた気がします~
現場からは以上です~
私は、一体、何を、してるんでしょうか。
あらかた言い合ってすっきりしたのか、だいぶ下火になってきたかなという印象の2人。
何か硬いものを殴る様な音とか、燃える様な音なんか聞こえなかった。うん、私はなんにも!
「待たせたよい」
「…………いえ」
すっかり忘れられてると思ってました。
遠くに飛ばしていた意識を元に戻して、マルコさんを見る。その傍で頭を抱えているたんこぶ。
どうやら鉄槌が下ったらしいエースさんはこの際無視することにする。話が進まない。
「じゃあさっさと乗るよい」
「やっぱり、私……」
遠慮したい。その思いが声になることはなかった。
頭に大きなたんこぶを2つ抱えたエースさんが、私の肩を掴んできたからだ。
「遠慮すんなって! 登れねぇならおれが上まで連れてってやるよ!」
「いや、登れますけど」
さっきまで痛みに悶えていたのは何処の誰ですか!?
反射的に言葉を返してしまったのは仕方ないことだと思う。馬鹿にされたくないし!
エースさんの手を、そっと肩から剥がす。
外すじゃなくて剥がすね、ここ大事。
「まあいいよい。先に客人のことをオヤジに伝えてくるよい」
「お~! 宴でもすんのか!」
「さぁな。全てはヒナ次第だろうよい」
言い終わるや否や、マルコさんはまたその姿を蒼い鳥に変化させて船へと戻っていく。
「おし! おれらも行くか!」
「へっ?」
がしっと。
そう、がしっと。まさにそんな効果音がぴったりなくらい雑に、エースさんは私を小脇に抱えやがった。