第6章 【ご 雛鳥、白の人達と出会う】
大きな白鯨を象った、巨大な船。
その巨体を動かすのは強く風を受けて膨らむ数々の帆。
白鯨の顔は、心なしか誇らしげに見える。
一体、この船は何人乗るんだろう……
100人や200人の規模じゃないのは確かだ。
「凄い……」
「へへっ、すげーだろ! これがおれの家だ」
半ば呆然と呟くと、その声を拾い上げたエースが誇らしげに、でもどこか照れくさそうにはにかんだ。
きっとエースはこの船が大好きなんだね。
こっちの心までぽかぽかしてくるような表情に、つられて微笑を零す。
「エースさんはこの船がとっても大切なんですね。見てるこっちまで幸せになれるような……そんな顔をしてます」
ヒナの表情を見たエースは、一瞬固まる。
次には、ほんのりと頬を染めてそっぽを向いてみせた。
「……ったりめ~だろ。家族、だしよ」
数ヶ月前に別れた、お父様のことを思い出した。
ちょっぴり寂しい気持ちが湧き出てきたり。
「家族……いいですね。私もお父様に会いたくなってきちゃいました」
「オヤジか? なら……」
「おいっ、エース! いつまで時間かけてんだよい!!」
何かを言いかけたエースの言葉を遮り、個性的な……いや、独特な……?語尾の怒声が響き渡った。
次いで視界の端に映ったのは、鮮やかな蒼い焔。
「蒼い鳥……だ……」
大きく空を旋回するは、蒼い焔を纏った目つきの悪い鳥だ。