第6章 Meadow Saffron -危険な美しさ-

｢しかし頭を打ったので念のため検査入院と…。不覚でした。しかしながら、お嬢様がご無事で何よりでございます｣


私は首を横に振る。

良くない…。

全然良いわけない。

ベラードは私を心配させないためにこう言ってくれてるけど、彼だって頭の傷だけじゃなくて、蹴られた背中もきっと痛いだろうし、頬にも手にも痣ができてる。


｢みんなの具合は…？｣

｢少しずつ回復しております。重傷を負った者の容態も安定していると、先程医師から聞きました。気絶していた者も意識を取り戻し、お嬢様の安否を気にされてーー…｣

｢良かった…っ｣


安心して、涙と共にただその言葉だけが溢れ出す。


｢誰も失わずに済んで…本当に…っ｣

｢お嬢様…｣


私はもう一度フランの手を両手で握り締めた。


｢フランだけなのね、今も生死の境を彷徨っているのは…。私をかばってフランが…っ。私のせいです…｣

｢お嬢様のせいでは決してございません！このベラード、それだけは言わせていただきますぞ｣


ベラードは私の背中を優しくさすりながら、でも力強くそう慰めてくれた。


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