【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第6章 Meadow Saffron -危険な美-
「お嬢様…!」
細身で白髪の口髭を生やした片眼鏡の老紳士ー…ベラードが私の手を引いて咄嗟に廊下を走り出す。
私は転びそうになりながらも、必死でベラードに手を引かれるまま走る。
「ベラード…!これは一体!?」
「今は説明している余裕はありません。一刻も早くここから……ぐぁ!!」
その瞬間、追いかけて来た黒服にベラードが後ろから蹴り飛ばされ、床に突っ伏した。
「ベラード!!」
「ぐ…ふ…」
ベラードの額から血が…!
どうしよう、どうしよう…!
ここから逃げなきゃいけないけど、みんなを置いて逃げるわけにはーー…
すると、逃げて来た廊下の向こうから黒服たちが革靴を鳴らして闊歩してくる。
その後ろから女性が姿を現す。
ワンレンの長い赤毛、胸元の大きく開いた真っ赤なマーメイドドレス、その胸元で輝くのは大きなルビーのダイヤのゴージャスなネックレス。
とても美人だけど、派手なメイクが冷たさを際立たせる。
彼女はタバコをふかしながら赤いハイヒールをコツコツ鳴らし、私の前に立った。
「貴女がリリア・シュピールツォイク?」
この人…誰?
前に会ったことなんかたぶんない。
仮に会っていたとしても、父の命令で行かされた金持ちたちの集うパーティーでだろう。
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