第6章 Meadow Saffron -危険な美しさ-

久しぶりの休暇。

夕方、自宅で一人のんびりとソファに座り、雑誌を読んでいた。



ゴッ！！！



そんな私の耳に、突然大きな物音が飛び込んできた。


何事かと気になって音のした方へ行ってみる。

どうやら玄関のドアに何かがぶつかったみたい。

きっと住人の誰かが誤ってぶつかってしまったんだろう。


…と、短絡的に考えられるはずもない。

ドアの外から数人が激しく言い争う声が聞こえてきた。

争ってるのはーー…


私はドアスコープを覗く。

覗いたスコープの先には、ベラードやフランたちが黒服の男たちと揉み合っている。

よく目を凝らして下を見れば、何人かは頭から血を流して床に倒れているのが目に飛び込んできた。

私は思わず口元を抑え、息を吸い込んだ。


｢フラン！！ベラード！｣


そのまま押し退けるようにドアを開けると、今しがたドアスコープ越しに見た光景が眼前に広がる。


｢お嬢様…！｣


細身で白髪の口髭を生やした片眼鏡の老紳士ー…ベラードが私の手を引いて咄嗟に廊下を走り出す。

私は転びそうになりながらも、必死でベラードに手を引かれるまま走る。


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