【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第3章 Calendula -失望-
拳を握りしめ、溢れ出す感情を我慢しようと思っても、一度溢れ出たものはもうどうしようもなく止められなかった。
「そのあなたが…何で私を縛ろうとするの…?」
さっきは嬉しくて泣いてたのに、今度は裏切られて悔しくて泣いている。
バカみたい…。
私ばっかり浮き足立ってこんな所まで来て…。
内心、彼も私のことを嘲笑ってたのかもしれない。
うつむきながら足元に流れ落ちる雫。
「あなたも同じだったのね…」
何も言わない彼も、ゲイルたちと同じ。
私を閉じ込め、どこかに括り付けておこうとする…最低な男。
「同じ?」
「そうよ!あなたもゲイルや両親、私をオモチャにして弄んだ人間たちと一緒!!あなたは…違うと思ったのに…!」
彼が意味がわからなさそうに首をかしげる。
何で…ここまで言ってわからないの。
「わからないならいいわ…」
一気に熱が冷めた。
「もう話すことはありません。帰ります。お邪魔しました。ごきげんよう」
私は涙を拭い、スーツケースを引いていく。
カラカラと寂しげに鳴る音。
私の心が空っぽになったみたい。
泣きながら歩く私に、人がちらほら振り返る。
駅に向かい、そのまま夜行列車に飛び乗る。
早くここから逃げたかった。
私は過ぎ行く町を振り返りもせず、また日常へと戻るために帰路に着いた。
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