【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第1章 Yellow Geranium -予期せぬ出逢い-
「私も…死にたい」
…どうでもいいや。
もう、どうでもいい。
コツーー…
ドアの方から足音がする。
またピカッと雷が落ちるーー…
その光ではっきりと見えた。
人がいる。
長い黒髪、細身の体躯、白い肌。
そしてーー…
何もかも飲み込んでしまいそうな深淵のような黒い黒い瞳。
その大きな目が私をじっと見つめていた。
「うーん。殺しとくか…」
薄い唇が残酷な言葉を放つ。
表情ひとつ変えないで、私にゆっくりと近づいてくる。
私、ここで死ぬんだ。
ありがとう。
終わらせてくれるのね…。
こんな汚れた私が、誰かを愛すなんてできない。
こんな醜い私を、誰も愛してなんかくれない。
だったらいっそ、ひと思いにーー…
「……やめた。依頼に含まれてないし」
足音が遠退く。
どうして?
私は飛び起きてベッドからその白い手首を掴んだ。
綺麗な顔立ちのその男は振り返って私を見下ろす。
「ありがとう…ございました…」
なぜか出た言葉がそれだった。
途端に涙がいくつもこぼれ落ちる。
私はまだ、生きてる…。
「仕事だから」
男は私の手を振りほどく。
「キミのためでも何でもない」
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