【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第3章 Calendula -失望-
「会いに来たよ」
会いに?
私に、会いに…?
胸の鼓動が高鳴る。
ちょっとだけ口角を上げて微笑する彼を直視できない。
「あの、ごきげんよう…イルミ様」
どこを見たら良いのかわからなくて、下をキョロキョロしながら懸命に答えるけどこれが精一杯。
「まさか、自宅まで来ちゃうなんて思わなかったよ」
「え…?」
「ゴトー…あ、執事の一人なんだけど、彼から連絡来た時は焦ったぁ〜」
私が顔を上げると、イルミ様はため息をつきながらそう話した。
「ご迷惑…でしたよね」
こうなるのはどこかでわかってた。
でも、いざこの場面に遭遇してみると、胸が締め付けられるように痛む。
「約束を守ってくださって、でもそのお礼…言えてなくて…」
きっと、あなたはまた…そんなの仕事だからと言うのでしょう。
感謝の気持ちを伝えたいというだけで、のこのここんな所まで来た…。
ただの自己満足に過ぎない。
「明日には帰ります。だからーー…」
私はうつむいてこぼれ落ちそうになる涙を、スカートの裾をぎゅっと握ってこらえる。
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