【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第19章 Globe thistle -傷付く心-
「だからそうならないようにオレがゴンを今殺ーー…」
気付いたら、私の右手はイルの頬を思いっきりぶっ叩いていた。
イルの表情は長い黒髪に隠れて見えない。
「何…言ってるの…?弟のためにお友達を殺すなんてバカ言わないで」
信じられない…。
あなたがそんなこと考えてたなんて…。
「あなたが殺し屋に友達も恋人もいらないと考えてることは否定しないし、できないわ。私があなたの仕事のことに意見するには多くのことを知らな過ぎる。それに私はキルアくんに会ったこともない…」
私は拳を固く固く痛くなるほど握り締める。
「でもこれだけは言える。キルアくんはまだ12歳…。子供なのよ?やりたいこと、やらせてあげたっていいじゃない。きっとお友達とただ遊びたいって思ってるだけ。それは普通のことなの。育った家庭は普通とは違うかもしれない。でも本当のキルアくんは…普通の男の子よ」
イルはうつむいたまま私に叩かれた頬をさする。
「そうしたらキルは暗殺者じゃなくなる。それは絶対に避けなきゃいけない。キルはゾルディック家の次期後継者だ。完璧な暗殺者になるまではオレが監督してないといけない。それがオレの役割だから」
そこまで言うと、イルはゆっくりと顔を上げた。
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