【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第16章 Katakuri -寂しさに耐える-
思わずクスッと笑うと、イルも電話越しで同じように笑ってる。
「ねぇ、イル?」
「ん?」
手すりにもたれ、働き出した大都会を見下ろした。
街を行き交う人や車の出入りが多くなってくる。
「街にはたくさん人がいるのに、あなたに会えないだけでこんなに寂しいなんて思わなかった」
太陽の昇り切った朝の青空を見上げ、遠くにいるあなたを想う。
「会いたいわ…とっても」
「うん。オレも」
イル…あなたも同じように空、見上げてるの…?
「久しぶりにリリィの声聞けて満足したよ。ちょっとだけ」
「そうね…。終わったら真っ直ぐ帰って来てね。早くあなたを抱きしめたいの」
「…寂しい?」
「もちろんよ」
「オレも…早くキミに会いたい」
…切ない。
声は届くのに、触れられない。
会いたくても会えない。
あなたの居場所もわからないから、どっちの方を向いて泣いたらいいのかわからない。
でも…イルも頑張ってる。
私も頑張らなきゃ。
「待っててね。早く帰るから」
「えぇ。待ってるわ」
イルが少しだけ電話口で微笑んだ気がした。
「リリィ、大好きだからね」
「私も大好きよ、イル…」
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