【ハンターハンター】暗殺者のクオーレ・プーロ【イルミ】
第9章 Tutsan -悲しみは続かない-
バシャッ
「げほっ…ごほごほっ…」
急に呼吸が苦しくなって、むせ返りながら目が覚めた。
訳もわからずびっくりしている体を起こすと、頭から髪の毛を伝って水滴がしたたり落ちてくる。
ひとしきり床に向かって咳き込んでいる内に、水をかけられて気絶から目覚めさせられたのだと理解した。
水をかぶったからだろうか、肌寒くて思わず自分を抱きしめるように腕をさする。
「起きたか?」
低い男の声に、おもむろに頷きながら息を整える。
顔を上げると、バケツを持った茶髪の男が鉄格子を隔てて私を見下ろしていた。
他にも2人、燕尾服の男が彼の両サイドに立っている。
「こ、ここは…?」
ゆっくりと辺りを見回す。
そこは一辺3m程の立方体の部屋で、私がいる以外には何もなかった。
打ちっぱなしのコンクリートの床、壁、天井。
そして、目の前には黒い鉄格子。
ただそれだけ。
電気はもちろん、明かりと呼べるものは何もない。
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