第8章 Water lily -信頼-

｢久しぶりね、狼さん。こんなに大きくなって…｣


私は彼をもう一度撫でると、嬉しそうに遠吠えした。


｢ねぇ狼さん、少しの間だけ…ここに匿ってくれる？｣


私がそう言うと、言葉を理解したかのようにのっそりと立ち上がり、私から離れて行き、小さい歩幅でゆっくりと歩いて行く。

そのまま狼さんについて行くと、木々がなく、月明かりの射し込む少し開けた場所にゆっくりと座り込んだ。


｢休もうって…そう言ってるの？｣


狼さんは私に尻尾を振る。


｢わかったわ。あなたの体、お借りするわね｣


私は狼さんに体を預ける。

狼さんの毛並みが心地良くて温かい。


募った疲労が睡魔となる…。

今、自分の命が危険に晒されていることを忘れ、ついウトウトと眠りにつきそうになる。

このまま…イルミ様を待っていればーー…



キキーーーーーッ！！！



突然のブレーキ音にビクッとして起き上がる。

目を開けた頃にはもう既に黒い燕尾服に身を包んだ４.５人の男たちに取り囲まれていた。

服装からあの黒服たちとは違うってことだけはわかる。


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