第9章 守りたいモノ
夢杏side
学校が終わり部活に向かおうとしていた時…
「夢杏ちゃん!」
クラスのサッカー部の人が話しかけてきた。
貴『な…に??』
「やだな!そんな怖がんないでよ!なんか担任が、美術倉庫に来てって言ってた!」
貴『え?わ、わかった…』
「うん。それじゃ!…で」
私はその時、聞き取れなかった。
彼が"また後で"と言ったのを…
彼が言っていたように美術倉庫に向かった。
なんでこんなとこなんだろうと思いながら…
"ガラガラガラ〜"
部屋に入ると美術の置物だったり、絵だったり、野球の金属バット、机…いろいろな物が散乱していた。
空き教室が物置きになっているような感じ。
貴『失礼します〜先生?…キャッ!!』
入った瞬間、誰かに腕を引っ張られドアを閉められた。
「やっと来たあ〜!まってたよ〜ニヤニヤ」
貴『…!!』
そこに居たのは担任の先生ではなく、クラスのサッカー部の人。
嫌な予感がして、体が徐々に震えて来るのがわかる。
貴『え…ッなんで…?先生は…?』
「先生なんているわけないじゃーーんッ!嘘だよ!うそww」
そう笑う彼の目は冷たく感じた。
まるであの時みたいに…
貴『な、なら部活行く…』
「だーめ。俺さずっと夢杏ちゃんと話したかったの!でもいつも邪魔が入るじゃん?だーから今日は2人で過ごそっ」
そう言って私の頬に手を当ててきた
貴『さ、触らないで!!』
私は彼を"ドン"と押した。
「痛ったあ…あぁーじゃあお返しネ」
そう言うと同時に"パーンッ"という音と
頬にヒリヒリと痛みが走った。
"あの時と同じだ…"
その瞬間、一気にあの頃に引き戻される。
ダメだ。このままじゃ。逃げなきゃ。
そう思い立ち上がって走ろうとした。
「ねぇ。抵抗すんなって!!」
彼の手には金属バットが握られている
貴『いや…や…めて…』
怖がる私をみて彼はバットを振り下ろした。
貴『痛ッッ…やめて…』
バットは腕に当たり激痛が走る
「ならもう抵抗しないで?いつも守ってくれる王子様はいないから」
きっと蛍の事を言っているんだろうと思った。
助けて…誰か…蛍…
誰もいない…
そう思った時…
貴『嫌ッッ!!!』
大きな声で叫んだ。
その時。ドアが"ガラッ"と勢いよく空いた。