第2章 ベルツリー急行編
何とかベッドから身体を引きずりだし、身支度を整えてから駅のホームに向かう。
大きい列車のすぐ側に見慣れた少年達を発見し、声を掛ける。
「コナンくん達、やっほー」
コナン君はすぐに振り返り、小走りで私の元に駆け寄って来た。
小五郎さんがコナン君達の荷物を持たされているようで、ブツブツと愚痴を零しながら煙草を吸っている。
「ねえ!何で最近ポアロ来ないの!?」
「えー…だって安室さんが居るじゃん…」
「僕寂しかったんだからね!」
そう頬を膨らませ、プンスカ怒っているコナン君。
相変わらずサイズが小さいな、と頭に手を乗せワシャワシャすると、嬉しそうに目を細める。
すぐに少年探偵団の皆が来て、眩しく元気に挨拶をしてくれた。
「おーい、やっぱり来たんじゃな。良かった良かった」
「あ、阿笠博士。久々に有給取れてですね」
「いつも忙しそうじゃからのー」
そんな世間話を交わしていると、蘭ちゃんと女子高生2人が見えて私の所にやって来た。園子ちゃんには何故かなついてもらっているらしく、私の隣で満面の笑みを浮かべている。
「さーん!」
「お〜、園子ちゃん色々とありがとねほんと」
「いえいえ!」
目を輝かせて言う園子ちゃんにお礼を言って微笑むと、その倍の笑顔で返される。
最近園子ちゃんと安室さんに近しい物を感じているが、それは園子ちゃんに失礼だろうと考えるのを放棄した。
蘭ちゃんと園子ちゃん以外に、ボーイッシュな女の子が居た。本当蘭ちゃんの友達は個性的だなとつくづく思う。
「初めまして。蘭の友達の世良真純だ。
園子から聞いてたけど…さん、だよな」
「初めまして。うん、その通りです。…あのさ、別に怪しいお店とかに売っ払おうとか思ってないからね…?」
「ええ、良い男に出会えるなら全然良いのにー…」
残念そうに眉を下げる園子ちゃんを蘭ちゃんが軽くペシッと叩いてハハハ……と笑う。世良さんはハッとして目線を穏やかなものに変えると、ごめん、と口に出した。
「ボク、女探偵やってるからさ。どうしても色んな事疑っちゃうんだよね…」
頬を掻いて困った様に笑う世良さん。
そういえば、毛利さんも探偵事務所やってるし、安室さんもその弟子だよね。
蘭ちゃんの周りには探偵が多いな、と改めて感じた。