第3章 極の二人
刀剣男士Side
主の娘が正式な審神者として本丸に来た。
本丸の刀剣男士達の間で、
そのことが話題になることはなかった。
少女の話をすることはタブーだった。
しかし近くの物陰から、
少女のいる離れの方をじっと見ている男士がいた。
その顔は複雑そうだ。
「あ〜!!ごこたいくん、だめですよ!」
「っ!今剣さん…」
「どうして、
はなれのほうをみていたんですか??」
「ご、ごめんなさい…
あの、兄さん達には言わないでください」
「しかたないですね。
もうみちゃだめですよ?」
五虎退は返事をせずにうつむいた。
今剣は困ったように肩をすくめた。
「あのひとがなにをしたか、わすれちゃったんですか?」
今剣の問に答えが返ってくることはなかった。
少しの間をおいて、
五虎退が今剣の目を見ながら言った。