第5章 ぼくの名前を呼んで
「あるじさまみたいに、だきしめてほしいです」
小さな体をそっと抱きしめる。
小さな手がぎゅっと優しく抱きしめ返してくれる。
「あったかいです…」
『ほんと、あったかいね。』
「あるじさまは、ぼくのことをいまつるちゃんってよんでました。」
「だから…だから、あなたもそうよんでくれませんか?あるじさま」
え…最後のあるじさまって私のこと…?
『わ、私…もしかして認めてもらえた??』
信じられなくて聞いてみるけれど、
答えは返ってこなかった。
あまりにも突然のことで、信じられない。
『いまつるちゃん』
信じられないから、
貴方の名前を呼んでみる。
後ろにまわされた小さな手に、
少しだけ力がこめられる。
しょうがないなぁ、照れ屋さんなのね。
『いまつるちゃん、これからよろしくね。』
月明かりに照らされた彼の頬が紅くなっていく。
「はい、あるじさま。」