第1章 寝癖
=おはなし=
「なぁ。また何か『お話し』聞かせろ」
政宗はいつも、寝る前にお話しをせがむ。
それが現代の話しだったり、おとぎ話だったりしても、飽きずに聞いてくれる。
鉄の塊が空を飛んだり、馬より早く走るって話は何度もせがまれるほど、お気に入りになったみたい。
「うーん.....。じゃあ、好きな花を4つ挙げてみて」
「花?....あんまり詳しくないが....何でもいいのか?」
「うん」
少し考えたあと、政宗が挙げたのは桜、紫陽花、桔梗、椿だった。
「これでいいか?」
「うん。ありがと」
..........................
..........................
「..........おい」
「ん?」
「ん?じゃねぇ、話しは?」
「したよ」
「は?」
お花が4つ。
お花が四(し)、お花四、おはなし、お話し....
「ね?」
「......お前な...っ」
........だって、呆気に取られた顔も
ねだって来るときのキラキラした瞳も
強くてカッコいいだけじゃない政宗も、大好きなんだもん......ッ!!
「....っ、覚悟しろよ」
「へ?」
「俺のことが『大好き』なんだろ?だったらその気持ちに答えないとな?.....寝かさねぇぞ」
その夜は、朝まで甘い時間が流れた―――