第10章 揺れる
決して引いた訳じゃない
けどそれは、小説か何かのストーリーを聞いているようで、まるで現実味が無くて
創作なんかじゃないだろう
これがもしお芝居だっていうなら相葉さん。アンタ、アカデミー賞取れるよ
お気楽なお坊ちゃまだと決めつけていた自分を殴ってやりたいとさえ思う
イライラするんだ
相葉さんの親父さんに対しても、何も言えなかった自分自身にも...
「クソッ...!」
違う、本当はそれよりも、
“コウタ”
誰も知らない本当の相葉さんの姿を知っていて
一番近くで寄り添い、支えになっていたその人の存在
多分その人は、相葉さんの事が好きだったんだろう
それなのに『 幸せになって』と、最期の言葉を遺して死んでしまった
相葉さんもきっと、その人の事を...
ズキン
なんだよコレ
なんで俺が、こんな...
こんな痛みを感じる意味が分かんねーよ...