第9章 貴方だけは消えないで
あの日俺はホテルには泊まらずに
コウタの後を追うように自宅へと帰った
翌日の朝のニュースで知ったんだ
真夜中に一人の男が『飼っていた ペットを殺してしまった』と警察に出頭していた事
動機は南京錠の付いた赤い首輪をハサミで切り裂いて勝手に外していたからだという事
そのペットが
17歳の少年だったという事を
なぁ、コウタ
なんでそんな事したんだよ
そんなことしなきゃさ
お前がそのハサミで喉を切り裂かれて死ぬ事もなかったのに
“これはね、愛情の証なの”
そう言ってお前は
あの赤い繋縛の首輪を何度も撫でてただろう...?
まるでそれが
愛おしいモノかのようにさ
抱き合う事で傷を癒し合えてると思ってた
癒されていたのは
俺の方だけだったのかな
なぁ、コウタ...