第7章 Heaven or hell
『母親はさ、風俗嬢だったの。
だから僕、誰の子かわからないんだってさ。
幸大なんて大層な名前、全然似合ってないでしょ』
初めてコウタを抱いた日
そんな話を聞いた
『母親の彼氏に無理矢理ヤられて男に目覚めちゃった。
でもね、それが母親にバレて…
ドロボウ猫って罵られて、包丁持って追いかけ回された。
それを庇った彼氏の方は…刺されて死んじゃったんだ』
懲役を食らった母親とはそれっきり会っていないそうだ
収容された児童自立支援施設では虐待が日常的に行われていて、脱走を繰り返しては殴られた
小さい時に数える程しか会った事の無い祖母の元へ帰されて
そこでも酷い扱いを受けて逃げ出した
『これは愛情の証なの』
そう言って南京錠の付いた赤い首輪を嬉しそうに擦るコウタを思い出す
「…コウタ、」
嫌な胸騒ぎがするのはなんでだろう
『…、雅紀さん…!』
『…ん?』
『…ううん、なんでもない』
“バイバイ”
なぁ、コウタ
あの時お前は俺に何を言おうとした? ―――