第2章 French ⚠
「お待たせ、リート✨」
ドアがそっと開き、何かから逃げるように出てきたフランスさん。
「会議は…?」
「抜け出してきた♪」
「……(いい加減な人だな)」
不意に目が合ってしまい、身体が拒否反応を起こす。やはり目を合わせるのも辛い…
一緒にいるのも辛いが、ギリギリ我慢できる程度のものだ。少しでも震えを抑えようと自身の身体を揺するが、それでも拒否反応がでる度、あの時の触覚、恐怖が鮮明にフラッシュバックするのでただの気休めにしかなっていないことに彼女は気付いていない。
「っ…ぅうっ。」
早く止まって。早く、早くっ…
ギュッ… 「ごめんね…」
ソファーに蹲っている私の上から包み込むようにフランスさんが抱きしめた。
「えっ…」
心臓がドクドクいってる。心拍数はどんどん上がって身体の動かし方を忘れてしまうぐらい混乱してる。
「俺のせいで……リート、キミを怖い目に合わせてしまっている…。本当に申し訳無いっ…」
部屋で聞いていた時の声よりも数段焦っているような、緊張している声色だ。本当に…申し訳無いと思ってる?
「…このままで聞いて。ちょっと拉致するね♪」
フワッと体が浮き、お姫様だっこされる。
……え?お姫様だっこ?
「えっ…ちょ、らちっ、えぇっ!?」
お姫様だっこされたままフランスに拉致されてしまうリート。前言撤回、やっぱりいい加減な人だ。
「離してっ…離してくださ…い……あっ、うぅっ…」
思い出した時にやってくる身体の震え。
そうだ、今は男性と0距離…だめっ……。さっきみたいに心臓がドクドクいって目から熱い涙がボロボロと溢れてくる。
「早くっ…うぐっ、早く離してっ……お願い、しますぅっ…」
嗚咽を漏らしながら必死に懇願するリート。必死にフランスの胸板を叩くが、一点を見つめたまま走り続けていた。