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黒子のバスケ*Short Stories3

第18章 隣にいる理由が変わった日*黄瀬*


自分の気持ちに気がついた時、それを認めることが照れくさかったのと同時に、実る確率が低い恋の始まりに少し胸が苦しくなった。

だって私が好きな人はあの人だから。

今日も体育館前に大勢の女の子達が押し寄せている。

それにもすっかり慣れているので、洗い立てのタオルが入った籠を抱えて、女の子達の波をすり抜けた。

大量のタオルを畳んでいると、視界に少し陰が落ちて、頭の上から明るい声が聞こえてきた。

「っち!手伝うっス!」

「いいよいいよ。もうすぐ部活始まるよ?」

「もうアップ済んだから大丈夫っスよ。これだけの量一人でやるの大変でしょ?」

そう言って器用な手つきでタオルを畳んでいるバスケ部のエースでモデルさんの彼。

イケメンは性格悪いと思ってた私の偏見を払拭したのは黄瀬くんだった。

こうして然り気無く優しくて、よく気が付いてくれる。

「そういえばさっきファンの子から差し入れでお菓子もらっちゃったんスよ。後で一緒に食べないっスか?」

「私がそれ食べちゃったら、黄瀬くんファンの子から何されるかわからないからなぁ。」

そんなことないって言いながら唇を尖らせるあどけない表情が可愛くて、ついつい笑みを溢してしまう。

こうして談笑していてもファンの子から疎まれないのは、私が「マネージャー」だから。

初めて会った時、こういう人に恋すると苦労するだろうなとぼんやり思っていたら、まんまとハマってしまっていた。
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