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黒子のバスケ*Short Stories3

第17章 1月31日*黒子*


近くの公園のベンチでテツくんが紙袋の中身を取り出した。

「テツくん、朝練大丈夫?」

「いつも早めに行くのでまだ大丈夫ですよ。」

私が寒くないように自販機で温かいミルクティーをテツくんが買って持たせてくれていた。

まずは小さな袋をカサカサと開けば、白くて暖かそうな手袋がテツくんの手の中に現れた。

テツくんは嬉しそうに手にそれをはめて、両手で口元を覆った。

「すごくふかふかです…。ありがとうございます。毎日使いますね。」

テツくんをイメージして選んだ手袋を彼も気に入ってくれたようでまずは一つ息をついた。

いよいよ小さな箱に手がかけられ、箱が開かれるとテツくんは私でもわかるくらい瞳をキラキラと輝かせた。

そこに入っていたのはお店で売っているものよりは遥かに不格好だけど、精一杯の想いを込めたいちごのショートケーキ。

「これ…が作ったんですか?」

「うん…。テツくん、甘いもの好きでしょ?」

「はい。…でも料理は苦手って言ってなかったですか?」

「火神からアドバイスもらってね、テツくんみたいに苦手なことも上手くなるように努力しようって思ったの。」

すると、テツくんは一緒に入れておいたフォークでケーキを口に運んだ。

「うん、美味しいです。、ありがとうございます。…すごく素敵なプレゼントです。」

目の前に広がるのはずっと思い描いていた以上のテツくんの暖かな笑顔。

私も思わず顔が綻んで、テツくんを見つめていると、テツくんは私にフォークで取り分けたケーキを差し出した。

「も食べますか?」

「うん。」

「あーん、してください。」

口を開けるのは恥ずかしかったけれど、口に運ばれたケーキは甘くて優しい味がした。

今までのことを思い浮かべると感慨深くて、より美味しく感じた。

「…もう一口食べさせてくださいね。」

テツくんは小さく溢すと、優しく私の唇に唇で触れた。

ちゅ、と音を立てて唇が離れて、私はようやくキスされたという実感が湧いた。

突然の口づけに熱が上がり戸惑っていると、テツくんははにかんで頬を染めていた。

「ありがとうございます、。素敵な誕生日になりました。…ごちそうさまでした。」
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