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黒子のバスケ*Short Stories3

第16章 大切な君に世界一幸せな未来を*緑間*


「お邪魔しました。それでは明日宜しくお願いします。」

「それじゃあ私、真ちゃん送ってくるね。」

彼が私の両親に礼儀正しくお辞儀をして、二人は彼に優しく微笑んでくれている。

私の家を出て、二人並んで歩きながら今日の家での時間を振り返った。

「真ちゃん、あんなに畏まらなくていいのに。」

「お世話になっているのだから当然なのだよ。関係が変わっても、ある程度の礼儀は必要だ。」

相変わらず真面目だなぁ。

昔からずっと変わらない。

「…家族になるのに?」

「…これから家族になるとはいえ、大事なお前を家族から引き離してしまうのは心苦しいものなのだよ。」

「後悔してる?」

「馬鹿なことを言うな。」

真ちゃんの顔を見上げれば、目を細めて柔らかく微笑んでくれていた。

出会ったばかりの頃の、どこか冷たい仏頂面とは大違い。

私にだけ向けてくれる優しい笑顔に、繋がれた手から自然に溶け合う温もり。

あぁ幸せだな、って改めて感じる。

すると、真ちゃんがぴたりと足を止めた。

「、ここでいい。」

「え?家までまだまだだよ?」

「…早く戻って家族水入らずの時間を過ごすのだよ。」

真ちゃんの然り気無い気遣いが嬉しくて、胸がじんと熱くなった。

「…ありがとう。」

「あいつにも宜しくと伝えてくれ。…それじゃあまた明日。」

「うん、わかった。…明日楽しもうね!」

真ちゃんは私の頭をぽんぽんと撫で、そっと触れるだけのキスをしてくれた。

ばいばい、と手を振って見送れば、真ちゃんもさっと片手を上げて応えてくれた。

別々の家に帰るのは今日でさよなら。

私は明日、青峰から緑間になる。
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