第14章 「ありがとう」の代わりに*高尾*
終了のチャイム共にクラスメイトがざわつき始めた。
隣の彼も歓喜の声をあげた。
「よっしゃー!テスト終わったー!」
「ね!長かったぁ…。」
テスト中は出席番号順に座るから、彼と隣同士になれる。
また離れてしまうのは名残惜しいけれどね。
「が勉強教えてくれてマジで助かったわ。今回いつもより出来た気がする!」
「私そんなにちゃんと教えてないから…。それにまだ結果分からないでしょ?」
「いーや!俺の勘、結構当たるんだぜ?今回は順位上がる!」
私の拙い説明で彼の役に立てたなら何より。
だってこんなに満開の笑顔を独り占め出来たんだから。
「なぁなぁ、勉強教えてもらったお礼させてくれね?の言うこと一つ聞いてやるよ。」
「え!?いいよ!大したことしてないから!」
首を横に振っても彼は全く納得してくれない。
「俺の気が済まないの。厚意は素直に受けとるもんだぜ?」
にかっと気持ちいいほどの笑顔で言ってくれるものだから、私は少し勇気を出してみることにした。
「…わかったよ。じゃあさ、映画一緒に観に行ってくれない?この前観たいって言ってたやつ。友達で観たいっていう子がいなくて。」
「あぁ、あれな。俺も観たかったからいいぜ!部活が休みの日か午前練の日になっちゃうけどいい?」
「うん。」
彼はスマホを手に取り、多分予定を確認し始めた。
「じゃあ…来週の日曜日空いてる?体育館の点検で午前で部活終わるんだよ。」
指定された日を聞いて、一瞬ドキリとした。
「…!大丈夫だよ。」
「よっし!じゃあそこで!」