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黒子のバスケ*Short Stories3

第12章 同じ目線で*黒子*


テツくんが足を止めて一歩後ろにいる私の方に振り返った。

「…今日のことやっぱり気にしていたんですね。」

「だって女の子って小さい方が可愛いって言うでしょ?私とテツくん身長同じだし…どう思ってるのかなって。」

テツくんのことだから、傷つけるような言葉は言わない。

けれど嘘や冗談も言わないから、そのストレートな思いを受け止められるのか少し不安だった。

「…馬鹿ですね。」

一つ吐いた溜め息がふわりと白く浮き上がり、テツくんは私の頭をそっと撫でた。

「じゃあは周りの方より背が低い僕のことを好きじゃないんですか?」

「そんなわけない!…好きだよ。」

首を横に振って想いを告げれば、テツくんは頭を撫でていた手を今度は頬に添えた。

「それと一緒です。僕は身長もひっくるめて君のことが好きなんですよ?」

どうしてこんなに優しい言葉をかけてくれるんだろう。

じわじわ込み上げてくる気持ちを抑えられなくて、目に熱い涙が滲んだ。

目尻に溜まった滴をテツくんが指で掬い取ってくれた。

「確かに身長差は気になることもたまにあります。でも、一つ気付いたことがあるんです。」

「何?」

テツくんの手が私の両肩に乗せられて、優しく唇が寄せられた。

唇が離れると、少し悪戯っぽく微笑むテツくんの綺麗な顔が目に飛び込んだ。

「すぐにキス出来るんです。」

「……っ!!」

不意打ちに驚いて、軽く拳でテツくんの肩を叩いた。

するとその手首を掴まれて、また二人の手が繋がれた。

「。目線が同じだと見上げたり屈んだりせず、無理なく目を合わせられると思うんです。僕は同じ目線で、同じ未来を君と一緒に向いていたいです。」

「何かちょっとプロポーズみたいだよ?」

「そう捉えてもらっても構いませんよ?」

テツくんの嘘のない真っ直ぐな言葉に、私の背筋がシャンと伸びた。

長年のコンプレックスは好きな人が認めてくれただけで、綺麗に消えて無くなった。

これからも隣で背伸びせずに微笑んでいられますように。
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