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黒子のバスケ*Short Stories3

第11章 チョコレートが好きなわけじゃなく*霧崎第一


ちらりと逆隣の花宮を横目で見ると、興味なさそうに携帯を触っていた。

「花宮も今のうちにねだった方がいいんじゃないの?」

瀬戸が丁度いいタイミングで花宮に話を振った。

「…あ?俺甘いもん嫌いなの知ってんだろ。」

眉を寄せて、明らかに不機嫌ですという表情の花宮に、瀬戸は構わず言葉を返した。

「知ってるけど。じゃあ、花宮は無しってことで。」

「俺手作りがいいなー。」

「甘さは控えめにしてくれ。」

あれ?私皆に手作りチョコ作ってくることにいつの間にかなってる。

まぁ数も少ないし、部活で女子がいない中お世話になってるし、作ってもいいか…。

「おい、誰もいらねぇなんて言ってないだろ。勝手に決めんじゃねぇよ。」

携帯を少し強めに音を立てて机に置いて、花宮はワイワイ騒ぐ空気を止めた。

「でもチョコ食べられないんじゃないの?」

「バァカ。カカオ90%のやつは食えるんだよ。好物だから持ってこい。」

…なんて可愛くないおねだりなの。

相変わらず小憎たらしいんだから。

「…はいはい、そんなにそのチョコ好きなら持ってきてあげる。」

時計を見ると、休憩時間が終わりに近付いていた。

「じゃあ私先行って、午後練の準備してくるから。また後でね。」

まだ寛ぐ皆を置いて、一足先に体育館に戻った。

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「花宮、もうちょっと素直に言えばよかったじゃん。」

「そうそう。折角振ってやったのに。」

「鈍そうだから絶対に気付いてない。」

ガムを風船のように膨らませながら花宮を見やる原。

午後練に備えてワックスで額を出しながら溜め息をつく瀬戸。

荷物をまとめながら冷ややかな目で花宮を見つめる古橋。

呆れ顔の3人を花宮は顔を真っ赤にして睨み付けた。

「…うるせぇよ!」

チョコレートが好きなわけじゃなく、欲しいのはお前からの「チョコ」という名の贈り物。
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