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黒子のバスケ*Short Stories3

第1章 Happy New Year! 2014*日向*


始発の電車に揺られて、辿り着いたのは見慣れた海辺の風景だった。

「懐かしい…。」

「そうだな。あの時は夏だったし、景色楽しむどころじゃなかったもんな。」

同じく日の出を待つ人たちの姿も見られた。

持ってきたレジャーシートを敷いて時計と携帯を見て日の出の時間を確認した。

「あとちょっとだね。…順平は毎年初日の出見に来てるの?」

「あぁ。一年の計は元旦にありって言うだろ?元日の朝の始まり拝めたら幸先いいんじゃないかと思って。お前は?」

「私、初日の出見に来るの初めてなんだよね。…初めてが順平とで良かった。」

「…ダアホ。ほら、そろそろ時間だぞ。」

周りの人が見つめる方向に視線を移すと、海面から少しずつ少しずつ光が見え始めた。

気付けばさっきよりも順平の顔がよく見えるようになっていた。

徐々に顔を出す朝日は光を増し、水面に反射する朝日は揺れ動きながらもすごく綺麗で、思わず言葉を失ってしまった。

横目で順平の顔を見ると、彼も同じように朝日に釘付けになっていた。

新年の始まりの朝に、大切な人が隣にいる。

今まで味わったことのない満たされた気持ちで胸が一杯になった。

私は隣に座る順平の肩に頭を預けた。

「…どうした?」

「順平と新年の朝を一緒に迎えられてね、すごく幸せ。」

「…俺もだ。お前と一緒に一年始められるなら、それだけで縁起いいだろ。」

順平も私の頭に自分の頭をもたせかけて、そっと手を握ってくれた。

二人寄り添って初日の出が完全に顔を出すのを見守っていた。

愛しくて幸せなこの気持ちを、何だか素直に伝えたくなった。

「順平、好きだよ。」

「急にどうした。」

「今年初めての好きを伝えようと思って。」

「はいはい。…俺も好きだ、。」

今年も「好き」が始まる。
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