第6章 最初で最後の放課後*笠松*
高校生最後の席替えで隣同士になった私と彼。
最初で最後の日直に、ちょっとウキウキしてしまう。
「、お前日誌書いてくれ。俺黒板掃除しておくから。」
「え?いいよ。私もやる。」
「制服汚れるぞ。じゃ、頼むわ。」
「…ありがと。」
然り気無い気遣いが嬉しくてついついにやけてしまう。
二人きりの教室に流れる時間は、ただただ穏やかだ。
日誌を書く間に黒板を掃除してくれている彼の背中を覗き見る。
意外と背中は広くて、細身だけどスポーツマンらしくがっしりしてる。
何だかんだ几帳面で、黒板の隅まできれいに掃除してる。
こんな風景も卒業したら見られなくなると思うと、ぎゅっと胸が締め付けられる。
…おっと。日誌書いておかないと、笠松に怒られちゃう。