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黒子のバスケ*Short Stories3

第49章 あなたが選んでくれたから*黄瀬*


「どう…?」

カーテンの外にいた涼太は私の問いかけに答えず、数秒時間が止まっているかのようだった。

やっぱりそんなにスタイル良くないし、幻滅してフリーズしてるのかな…。

「あの…」

「っち、めっちゃ可愛いっス!ごめん!びっくりし過ぎて声出なかった!」

私の声に被せるかのように、涼太は瞳を輝かせて興奮して答えてくれた。

女の子というのは実に単純で、好きな人に「可愛い」って言ってもらえば自信を持てるもの。

その後も選んでもらった水着を試着して、結局お互いに「これだね!」と一致した水彩画のような色合いの水着を選んだ。

買い物を終えて、休憩と久々のお喋りがてらカフェでお茶をすることにした。

「涼太、連れてきてくれてありがとうね。お陰で可愛いやつ買えた。」

「俺から誘ったし気にしなくていいっスよ。女の子が可愛くなるのは、こっちも嬉しいしね。」

この人は…そんな綺麗な顔でにっこり微笑まれちゃうと、ドキドキしちゃうんだけど。

「スタイリストさんみたいだね。」

「本当っスか?じゃあ将来はバスケ選手兼モデル兼スタイリストでもいいかも。」

「欲張り。」

でも何でもこなせる涼太なら、その夢を全部現実に出来てしまいそう。

この先も隣で涼太の未来を見ていたいな。

あ、でも陰から支えていた方がいいのかな。

涼太のこと好きな女の子たちはたくさんいるから。

「ねぇ、っち。」

「何?」

「今度、今日の水着で俺ともプール行こう!」

「いいけど…人多いから目立っちゃわない?」

モデルとしての人気も上々だから、プールなんて人が集まるところは避けた方がいいのかもしれない。

だから自分からは切り出せなかった。

「そんなに気にしないっス!俺もっちと夏っぽいデートしたいんスよ。穴場のところ探すから!」

やや前のめりになって熱弁する姿を見ていたら、どれほど真剣になってくれているかが伝わってきた。

楽しい時間を二人で過ごしたい、という想いは一方通行ではなかった。

「うん!じゃあ約束。」

嬉しそうに口元を緩めながら、スマホでスケジュール確認する姿を見つめながら思う。

二人でいる時は独り占めしてもいいよね?

だって私の瞳に映る彼も、きっと彼を見つめる私も幸せそうに見えるから。

だって貴方が選んでくれたんだから。
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