• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories3

第47章 きっかけはラブソング*宮地*


放課後に立ち寄ったCDショップで、ふと目についたのは同じクラスの彼だった。

背が高いのもあるけれど、遠目に見ても格好いいなと思わせるその容姿もあって、彼の周りの空気が少し違って見えた。

他の女の子たちが彼に気付いて一度視線を止めているのも分かる程だった。

私も友達と別れて一人だし、彼もどうやら一人みたい。

実は密かに彼に想いを寄せている私としては、二人きりになれる願ってもないチャンス。

このチャンスを無駄にはできない!と意を決して、恐る恐る彼の所へ近付いた。

背中をトントンと叩くと、彼は振り返り少し目を見開いた。

「おう。お前も何か買いに来たのか?」

「うん、予約してたやつ取りに来たの。宮地は?」

「俺は…これ。」

少し躊躇いながら、彼が差し出したのは人気絶頂のアイドルグループのCDだった。

「宮地、アイドルとか好きなんだね。…なんか意外。」

「あ?別にいいだろうが。轢くぞ。」

「悪いなんて言ってないよ。私この子好き。」

宮地の手の中にあるCDのジャケット写真を指差すと、宮地は嬉しそうな笑みを浮かべた。

「マジで!?俺もみゆみゆ推しなんだって!やっぱ女子にも好かれんだな、みゆみゆは。」

どちらかと言えばクールに見えるし、女子と積極的に接するタイプではない宮地。

そんな彼がアイドルについて熱く語る姿に驚きつつも、どこかで誰も知らない彼の姿が見られたことを嬉しく思った。

「CD買えばいいじゃん。」

「馬鹿か。予約してるに決まってんだろ。握手会用にもう一枚買おうか悩んでんだよ。」

「本当に好きなんだね…。」

悪いと思いつつ、ぷっと笑いが溢れてしまって、宮地は照れ隠しか私の頭を軽く小突いた。

「笑うな!…轢くぞ。」

「ごめんごめん。ねぇ、今度CD貸してくれない?」

自然と口から出たその言葉は、何かしら彼との繋がりが欲しいと願った無意識の行動だった。
/ 266ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp