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黒子のバスケ*Short Stories3

第45章 6月3日*今吉*


6月3日、火曜日。

朝も早うから学校行って、朝練やって、授業出て、クラスメイトと他愛もない会話して、また放課後は練習して。

いつも通りの一日で、違うことと言えばIH予選中やで部活中の空気が緊迫しているくらいか。

「今吉さん、お誕生日おめでとうございます!あの…僕ケーキ焼いたので良ければどうぞ!」

部活が終わって緊張感も溶けた頃、桜井がプロ並にラッピングされた箱を差し出してきた。

「おめでとうございまーす!私もケーキ焼いてきたんですよ!どうぞ!」

もう一方から今度は桃井が可愛らしく包まれた箱を差し出してきた。

「おおきに。帰ってから食うわー。」

「今吉さん、よせって。さつきの料理食ったら死ぬぜ。」

「何言ってるのよ!青峰くんのバカっ!」

桃井と言い争いしながら桜井のケーキを横取りしようとしてきた青峰の腕をかわし、ゆっくりと体育館の扉を出た。

すると後ろから同じく部室に向かう諏佐が声をかけてきた。

「今吉、今日誕生日か。おめでとう。」

「おおきにー。また年取ってしもたわ。」

18歳、3年にもなると、1年の後輩たちのキャピキャピした雰囲気が眩しく見える。

「…お前は老人か。この後予定でもあるのか?」

「ないでー。」

「そうか…。いつもより早足だし、なんか嬉しそうに見えたんだけど。」

そう見えるんか。

約束はしてへんで?

せやけど、きっと今年もが待っている。
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