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黒子のバスケ*Short Stories3

第41章 5月16日*日向*


そう言って鞄から取り出したのは立派な甲冑に身を包んだ戦国武将のフィギュア。

手には「祝」と毛筆で書かれた髪が貼りつけられていた。

そして、もう一方の手には「必勝」と書かれたお守り。

明日もIHの予選があるって言ってたし、順平がずっと目標にしている日本一が叶うように、お願いしてきた。

「だって、一番にプレゼントあげたかったんだもん。バスケ部はきっと放課後の練習終った後かと思って…。」

「練習終わってロッカー開けたらこれが立派に飾られてて、めっちゃ驚いたら周りの奴らから変な目で見られたわ!」

「…驚いただけ?」

「そんなわけねぇだろ、ダァホ。…ありがとうな。」

順平は目を細めて、くしゃりと私の髪を撫でた。

その笑顔と「ありがとう」をもらえただけで、私まで嬉しくなる。

折角の誕生日だから良いスタートにしてあげたかった。

「今日ね、お弁当作ってきたの。お昼楽しみにしてて。」

「お、マジか!の料理久しぶりだわ。」

「誕生日だから特別です。」

お昼はお弁当に頑張って作ったバースデーケーキも添えてあげる。

するとその時、学校中にチャイムの音が響き渡った。

「あ、教室戻らないとね。」

くるりと踵を返して屋上の扉へ向かおうとすると、不意に後ろから腕を引かれて、その衝動で振り返った。

すると視界が順平だけになって、条件反射に目を閉じた。

唇が重なる感触で胸がいっぱいになっていると、順平は優しく私を抱き寄せた。

触れ合う温もりに身を委ねながら、今日一番伝えたかった言葉を口にした。

「お誕生日おめでとう、順平。…大好き。」

「…俺もだ。」

来年もこの日を二人で迎えられますように。
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