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黒子のバスケ*Short Stories3

第39章 嘘つきは恋の始まり*黄瀬*


今日はとことん神様に見放されている。

朝寝坊するし、駅の階段で躓いて転ぶし、筆箱忘れるし。

極めつけが今。

どちらかというと苦手だと思ってた男子からの、まさかの告白。

「だから…私あんたのこと好きじゃないから無理だって。」

「諦めきれねぇよ!俺お前の事ずっと好きだったんだぜ?」

この堂々巡りはいつまで続くの?

段々と面倒になり、踵を返してその場を離れようとした。

「…もういい。私帰るから。」

すると、強すぎる力で手首を掴まれて無理やり足止めされた。

「ちょっと待てって!お前がオーケーするまで絶対離さねぇぞ。」

最悪だ、本当に。

この拒否権のない状況に白旗を挙げようとした時、後ろから肩を引き寄せられた。

「女の子に対してそれはないっスわ。」

「お前…黄瀬っ!」

その名前にまさかと思い振り向くと、私よりもかなり上にあるその顔は、同じ部活でエースを務める彼だった。

「…黄瀬くん?」

「っち、大丈夫っスか?」

端正な顔立ちが柔らかな笑みを溢して、私の心も何故か和らいだ。

「これ以上続けると、どんどん嫌われるっスよ?」

「うるせぇな…。お前には関係ないだろ!」

罵声を浴びせられる黄瀬くんに申し訳ない気持ちになりながら見上げれば、ぽんぽんと優しく頭に触れてくれた。

「関係あるッスよ?だって俺ら付き合ってるし。彼女が他の男に言い寄られて困ってるの放っておけないでしょ。」

え?何言ってるの?

目を丸くする私をよそに、黄瀬くんの言葉で彼は苦虫を噛み潰したような表情でこの場を立ち去った。
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