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黒子のバスケ*Short Stories3

第32章 空色に映る桜*黒子*


朝6時30分。

いつものように携帯が震えた。

「おはようございます。着きましたよ。」

窓から外を見下ろすと、本を読みながら待つ彼の姿が小さく見えた。

ふふっと一人でにやけながら、最後の身だしなみチェックをして、家を出た。

「テツくん、おはよ!」

「おはようございます、。…行きましょうか。」

本を閉じてテツくんが柔らかく目を細めてくれるものだから、私もつられてふっと笑顔になった。

今では当たり前のようにどちらともなく繋がれる手。

付き合い始めたばかりの半年前には考えられなかった。

それだけの時間をテツくんと過ごし、心がもっと近づいたんだと実感する。

「朝でももう暖かいね。」

「そうですね。マフラーも手袋も必要なくなってしまいました。」

つい最近まで冷たい空気の中、体を縮こませて歩いていたのに。

「寒いから」を理由にして、腕にぎゅってしがみつくのも出来なくなっちゃった。

「…手袋がないので、の手の感触がちゃんと伝わって嬉しいです。」

私がその言葉に反応してテツくんの方を見やれば、顔色一つ変えずにクスリと笑みを溢している。

「テツくんそういうことさらっと言うのはずるいと思う…。」

「そう思ったんですから仕方ないです。」

こんな風に言葉で翻弄してくるのも、一緒にいる時間の分だけ心が近付いた証…と思っておこう。
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