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黒子のバスケ*Short Stories3

第30章 やっぱり特別*高尾*


<高尾Side>

待ち合わせの時間には少し早く到着した。

久しぶりの休みで折角のデートだし、出来るだけ早く会いたいもんな。

わかりやすいかなと思って指定した時計の下は大勢の人が集まっていて、ちょっと彼女が心配になった。

元々人見知りだし、賑わう街中を一緒に歩いた時たまに疲れたような表情を浮かべていた。

あまり時間に遅れるタイプじゃないし、もしかしたらもう着いてるかも…。

まだ時間もあるし、とりあえず待ち合わせ場所が見える上の階に繋がるエスカレーターに乗ってみることにした。

辺りを見渡せば、やっぱりいた。

お、見たことないストール巻いてる。

大きな淡い花柄がちゃんっぽくてすげぇ似合ってる。

ベンチに座って携帯を眺めている彼女の元へ少し歩みを早めて向かった。

髪に触れれば、ちゃんは驚いたように目を丸くして俺を見つめた。

言葉を交わせばへにゃりと頬を緩ませて、安心したように笑顔を見せてくれた。

「和くん、何でここ来たの?」

そんなのちゃんのこと考えてればすぐわかるって。

答えがわかりきった質問に答えれば、ちょっと悔しそうに眉をしかめて唇を真一文字に結んだ。

全部顔に出ちゃってるぜ。

そんな表情でも、少し顔が赤いんだから。

俯いた時に口角上がってるんだから。

そういうところが素直でまた可愛いなって思うんだけどね。

人よりも視界が広いからか見えるものも多い俺の目。

だけど、興味がなければ細かいところまでは気付かない。

人が大勢いても、周りの景色よりもはっきり彼女の姿が見える。

春色のストールがあんまり似合っていたから、思わず褒めてしまった。

すると今度ははにかみながら嬉しそうに笑ってくれた。

行動や表情や仕草で何度も俺を可愛いって思わせるちゃんは、やっぱり特別。

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