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黒子のバスケ*Short Stories3

第30章 やっぱり特別*高尾*


今日は久しぶりのデートだし、巻物を冬物のマフラーから買ったばかりの花柄のストールに変えてみた。

裾にレースが付いているそれは、早速お気に入りの仲間入りを果たした。

待ち合わせ場所の駅前の時計は待ち合わせの定番だから、相変わらず沢山の人たちが行き交っていた。

う…人酔いしそう。

とりあえず人混みを抜けてその場所が見えるところまでエスカレーターで上った。

まだ少し早いから、メッセージ送っておこうかな。

近くにあったベンチに腰掛けて、携帯を取り出してロックを解除すると、頭にぽん、と手が置かれたような感触がした。

何かと思って見上げれば、「待ち人来る」だった。

「ちゃん、おっはよ!ごめんな、待たせて。」

「…びっくりした。今和くんに連絡しようと思ってたとこだよ!」

「そりゃグッドタイミングだったわ。良かった。」

でも、ふと疑問に思った。

この場所は待ち合わせ場所ではない。

普通だったら待ち合わせ場所でそのまま待つか、「ここにいる」みたいな感じで連絡してくるはず。

「和くん、何でここ来たの?」

「ん?ちゃんの行動パターン考えたらわかるって。人混み苦手っしょ?」

「…お見通しですか。」

「わかりやすいぜー?今ちょっと拗ねてるだろ。」

その切れ長の瞳で見透かされているようで、何だか悔しい。

私の行動も気持ちも丸見えみたいじゃない。

「…拗ねてないもん。」

「はいはい、そろそろ行こうぜ。」

そう言うと、和くんは私の腕をぐいっと引っ張って私を立ち上がらせた。

「そのストール新しいやつだろ?似合ってんぜ。」

「…ありがと。」

私の些細な変化に気付く彼に、悔しくて中々可愛い態度はとれないけれど、実はこっそり嬉しいって思ってる。

私にもっと素直になりたい、可愛くなりたいって思わせる和くんは、やっぱり特別。
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