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黒子のバスケ*Short Stories3

第29章 いてくれてありがとう*赤司*


「午前の練習はここまでにする。各自昼休憩に入れ。」

主将の一言と部員の「ありがとうございました」という挨拶で練習は一区切りし、部員たちはぞろぞろと体育館から出ていった。

「ちゃん、お昼ご飯食べに行かないの?」

体育館の舞台に上がる階段に腰かけたままの私に、玲央先輩が声をかけてくれた。

「あ、征くんまだ監督と話してるので待ってます。ありがとうございます。」

わかったわ、と私に優しく微笑みかけて手を振る玲央先輩に、私も応えるように手を振って見送った。

「すまない、。待たせたね。」

上を見やれば、赤と黄色のオッドアイが私を真っ直ぐに見つめていた。

「征くん、お疲れ様。お弁当どこで食べる?」

「そうだな…。今日は暖かいし、中庭でも行こうか。」

征くんは座っている私にそっと手を差し伸べて、私がその手を取ればふわりと軽やかに立ち上がらせてくれた。

部活で顔を合わせるとはいえ、主将を務める彼は自分の練習、トレーニングメニューの考案、部員一人一人のチェックなどとても多忙。

一緒にいたいけれど、ファンがたくさんいる征くんと二人でいるのは勇気がいるし、人目が気になって恥ずかしい。

だからこそ学校に人が少ない休日の昼休みは、学校で二人きりになれる大事な時間。
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