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黒子のバスケ*Short Stories3

第28章 次の春こそ貴方の元へ*今吉*


想像とは裏腹な優しく頭を撫でる手つきに驚いて顔を上げた。

「なぁ…自分だけやと思ってへん?」

「え?」

「同じ学校通いたいって思ってるのはワシかて一緒や。見込みなければさすがに止めるで?」

置いていかれて寂しいのは自分だけだと思っていた。

いつもどこか彼を追いかけてばかりな気がしていたけれど、彼も同じように願っていてくれた。

今の一言だけで、沈んだ心とモチベーションはまた上がり始めた。

「…本当ですか?」

「嘘ついてどないすんねん。…なら受かるで。ワシがついとるから、安心して頑張り。」

何故だか彼の言葉は現実になる気がしてしまう。

加えてそんなこと言われてしまえば、もう頑張るしかないでしょう。

だって紛れもなく彼の笑顔は優しかったから。

「…はい!」

今日一番の明るい返事に、彼は満足そうにもう一度私の頭をくしゃりと撫でた。

「頑張ってもらわな困るわ。…やっぱ毎日の顔見とらんと寂しいねん。」

「寂しい」だなんて、彼の口から一生聞けると思っていなくて。

急に真っ赤になった私の顔を見て、彼はからかうように笑っている。

見ててくださいね。

余裕で合格して、今度は私がびっくりする先輩を笑っちゃいますから。
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