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黒子のバスケ*Short Stories3

第3章 Happy New Year! 2014*黒子*


バスケ部の人たちを見つけたのに、黒子くんは私の手をぎゅっと握って離そうとしない。

「…黒子くん?」

名前を呼び掛けて様子を窺うと、黒子くんは睫毛を伏せて目線を下に落としている。

これ以上踏み込む勇気はなくて、黒子くんからの返事を私も視線を落として待っていた。

「…本当は少し前には見つけていたんです。」

聞こえてきた言葉に驚いて、思わず顔を上げた。

「え…?」

「はぐれたのは本当です。でもまさかさんに会えるなんて思わなくて…もう少し一緒にいたかったんです。」

黒子くんの綺麗な瞳には、しっかりと私が映っている。

繋がったままの手は、とても熱い。

…嘘じゃない。

予想もしなかった黒子くんの言葉が身体中に満ち溢れて、嬉しすぎて何も言葉が出なかった。

「すみません、勝手でしたね。…迷惑でしたか?」

黙りこんでしまった私に、黒子くんが間違った解釈をしてしまっている。

恐がらずに、自分の気持ちを伝えなくちゃ。

頑張れ、私。

「私も黒子くんともっと一緒にいたかったよ…。」

ようやく絞り出した声は少し掠れてしまって周りの音にかきけされてしまいそうだった。

それでも、ちゃんと黒子くんには届いていて、黒子くんはふわりと優しい笑顔をくれた。

「…さん、好きです。これからも一緒にいてくれませんか?」

白い肌が赤く染まっていて、手にさっきよりも強い力が込められている。

「…私も黒子くんが好きだよ。こちらこそ宜しくお願いします。」

想いを伝えた時に見せてくれた笑顔は、今まで見たことがない、まるで花が満開に咲いたような笑顔だった。


なんて幸せな新年の幕開けなの。

今年起こるはずだったいいことが、全部全部集められたみたい。

でも、大丈夫。

幸運がなくなっただけだから。

大好きな人と幸せをいっぱい作るから。

神様、本当にありがとう。
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