第28章 次の春こそ貴方の元へ*今吉*
「、またここ間違えとるやん。さっきも同じような問題でつまずいとったやろ?」
「え…あっ!本当ですね…。」
「前の問題の時のメモちゃんと見返してみ?復習せんと二の舞やで。…じゃあ復習したら、次このページ満点とれるまで頑張りー。」
問題集を解きながらうんうん頭を悩ませるブレザー姿の私と、本を読みながらコーヒーを啜る私服姿の彼。
お互い学校が終わった後、時間が合えばこうして彼に勉強を教わっている。
先に卒業して一足先に大学生になった彼は、何だか急に大人びて置いていかれたようで少し寂しかった。
「制服姿見ると、やっぱ若いって思ってまうわ。ワシも年やな。」
「一つしか変わらないじゃないですか…。私だってもう18ですよ?大人っぽくなったと思いません?」
「いつも見てるで変わったかなんてわからへんわ。…手止まってるでー。はよやり?」
やっぱりそうも簡単に褒め言葉はもらえない。
彼はそんなに甘くないのだ。
雑談もそこそこに問題集に目線を落としてみるけど、毎日毎日勉強でさすがに疲れてきた。
「…浪人しちゃうかも。」