第23章 バレンタインイブは「おめでとう」*森山*
彼とバイバイして、家に帰って、何だかんだしていたらもう11時。
お風呂上がりの濡れた髪をドライヤーで乾かしながら、今日一日を思い出す。
二人でショッピングモールへ行って、ずっと手を繋いで気になるお店でぶらぶらウィンドーショッピング。
「はっ…!」
「今すれ違った子?私も今の子可愛いと思う。」
「がそう思うなら、俺の目に狂いはないな。」
「はいはい。」
可愛い女の子が横切る度にぴくりと反応するのは、もう彼の癖だろうな。
でもすぐに私の方に視線を向けてくれたから、仕方ないけど許してあげる。
「今年はこういう着こなしが流行ってるのか…。」
「由孝はもっときれい目な感じの方が格好よく見えるんじゃない?」
「そうか?じゃあこっちのマネキンの方がいいか…。」
今流行りのファッションアイテムをチェックしてる辺り、無意識にモテようとしていると見た。
…病気だな。
「、歩き回って疲れてないか?」
「大丈夫だよ、ありがとう。」
「無理しなくていいからな。休憩したくなったらいつでも言って。」
でも、すっかり染み付いている紳士的な振る舞いや、よく気を配ってくれる優しさについつい胸をときめかせてしまう。
ここまではいつものデートとあんまり変わらなかったけれど、違ったのは夜ご飯の時だった。